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むぎょっていこう

むぎょの日常と遊戯王と腐女子ネタの長文。

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ハガキ塗れの年末年始【即興小説トレーニング】


即興小説トレーニングで書いた作品を手直ししたものです。

 

 ハガキ塗れの年末年始

 

 

  冷たい空気をかきわけて、門の裏まで歩く数秒が億劫だ。ぶかぶかのサンダルから飛び出る足先が凍ってしまいそうで、私は急ぎ足でポストに向かう。
 蓋を開ければ、紙の塊がギチギチに詰まっていた。輪ゴムで束ねられた大量のハガキは、使いづらい辞書のようだった。

 うちの血筋は、やたらめったら兄弟姉妹が多い。おじさん五人、おばさん四人に甥と姪を合わせて一ダース。私の両親は、互いに大家族の末っ子である。 それに加えて祖父・祖母の中で一人っ子がいないものだから、ちょっと遠い親戚まで合わせると実に膨大な数がいた。もちろん私は把握しきれてないし、父母にも各々知らない親戚もいるだろうし、便りを送ってこない人もいるだろうし。親戚というものはたくさんいすぎても困りはしないが、少しくらい抜け漏れがあっても何の支障もないのである。

 うんうんうなりながら紙束を運び、玄関で一旦降ろす。腰をさすってまた抱えて、リビングに到着したころには家族全員が集合していた。


「ご苦労様」
「ありがとう」
「おねえちゃん力持ちだね!」
「あったかいお茶あるよ」
「毎年よく来るよね」]


 父さんがハガキの山を分け、母さんが大まかに分類した。兄さんが読み上げ、姉さんがメモをとっていく。弟と妹は輪ゴムを外す係りだ。


「新潟、三月二十一日、ひいじいちゃんの三回忌」
「神奈川、四月三日、加々美さんちの三番目の姉ちゃんの結婚式」
「高知、二月九日、タカヒコさんのばあちゃんの葬式 」
「その日って確か乾のおじさんの会社上場パーティーじゃなかったっけ」
「ミオちゃんの生前葬もカブってるんだけど。四国から北海道って大丈夫かな」
「まあ、なんとかなるだろ」


 親戚というものは、たくさんいすぎて困りはしない。色んな旅行が一年中楽しめるからね。

 

 

 

 了

 

 

お題:朝の年賀状 制限時間:30分 文字数:731

手直し前の作品→「冬の朝、輪ゴムで束ねられたハガキたち」 - 即興小説トレーニング