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むぎょっていこう

むぎょの日常と遊戯王と腐女子ネタの長文。

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演劇も双方向の時代!「リアルタイムの投票で話が分岐する」劇を見てきた


むぎょだよ。

日曜日はサークルのみんなで演劇を見に行ったよ。

団体名は「劇団ナイスストーカー」。劇のタイトルは、「神様の言うとおり2 ~夏の夜の夢の超特急~」。

nice-stalker.com



サークルの先輩が出演していて、その縁で誘われたんだ。

私は普段あんまり演劇を見に行くことはないんだけど、仕組みが面白そうだったから。

 


普通、演劇や映画を見るときは「携帯電話の電源を切ってください」ってお願いされるよね。

でも、この公演ではサイレントモードを推奨された。むしろ、携帯やスマホがないと始まらない演劇だったんだ。

 上演中に【リアルタイムで行われる観客の電子投票】で【ストーリー分岐】していく 【マルチエンディング展開】の舞台公演です。観客は【自分の携帯電話】を使って【選択肢】を選びます。登場人物が人生の分岐点に立たされたとき、観客席に 座っている皆様には【神様】になって、進むべき道を示していただきます。上演中、皆様の携帯電話から電子投票で行っていただく【多数決】の結果は、リアル タイムでステージ上のディスプレイに集計され、それによってくだされる【神様】の決定に逆らうことはできません。

(サイトから引用)




役者が目の前で演技しながら、ゲームのように選択肢が存在する。

そんな新感覚の演劇を見に行ったんだ。

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(この画像は、プレスリリースのデータをお借りしています)

 

 

目次

  • ストーリー
  • 会場・投票の仕組み
  • 実際にあった選択肢
  • むぎょが奇跡を起こしたラスト
  • まとめ ~計算された不安定さと、新たな可能性~

 

ストーリー


場所は修学旅行の帰りの新幹線。登場人物は何人かの生徒と教師。

「旅行中に彼女ができますように」とお守りに願ったモテない男子のせいで、学校のみんなは半年間同じ日を新幹線内で繰り返していた。

しかも、登場人物全員が幸せにならないといけない。誰かの気持ちをないがしろにしたままだと、馬に蹴られて、ではなく馬に撃ち殺されて死んでしまう。

観客は恋愛の神様となり、彼らを無事東京まで送り届けなければならない……

ぶっちゃけ、投票システムなくてもめちゃめちゃおもしろい演劇だったと断言できます。役者の個性も技量もハンパなかったし。
しかし、投票システムがあったからこそ最高に魅力的な唯一無二の表現になったことも事実です。


会場・投票の仕組み


会場はまったく普通だった。客席があって、大道具の乗った舞台があって。

ただ、舞台の上方にはスクリーンがあった。二つの棒グラフが映し出されていた。

事前に配られたチラシのQRコードを携帯で読み取ると、この演劇のためだけに作られた投票サイトが開く。

チュートリアルの投票は「犬と猫、どっちが好き?」だった。私が猫の投票ボタンを押すと、数秒の後にグラフとパーセンテージが変動する。

演劇と投票を組み合わせるというのは新しい考えだが、原理自体はとても簡単で理解がしやすかった。



観客は神様。登場人物が恋愛のお守りにお願いすると、スクリーンに問いが現れ、選択肢を見た役者がリアルタイムでふるまいを変えるというもの。

むぎょ、中学と高校で演劇部だったから言うけど、コレめちゃくちゃ難しいよ?

決まったセリフと決まった流れでさえたまに混乱するのに。稽古で繰り返した違うルートが頭の中でごっちゃにならないのかな……スゲーよ!!!


実際にあった選択肢


さて、実際にはどんな選択肢があったのかというと。

恋愛の神様らしく「この生徒と誰をくっつけるか」というものはもちろん、
「修学旅行のお土産でどっちを買うか」
「どんなラッキースケベを起こすか」
「今にも漏れそうな男子をトイレに行かせるか否か」
などなど。

ラッキースケベは物語序盤の方だったのだけれど、投票で「露出過多」に決まったのでワクワクしながら見た。
カルピスを零した女生徒が、舞台の上でバニーガールの衣装に生着替え。なんじゃこりゃwwwって思ってたら、劇の間ずーっとその衣装だった。かわいい。舞台からはけるときのお尻がめちゃめちゃ素晴らしかった……選んだみんなグッジョブ。

むぎょはサークルのみんなと来てたんだけど、なんと投票タイムに同行したやつらからLINEが来る。演劇の鑑賞中にLINEっていうのも斬新な体験だった。
トイレの分岐で「失禁させたい……させたくない?」っていうメッセージが来たときは笑った。でも回避したよ!


むぎょが奇跡を起こしたラスト


そして、ラストの分岐。主人公の二人の女子が、東京駅で待っていた同じ先輩に告白することを決める。

どっちかを選んでしまえば、バッドエンドで皆殺し。彼らはまたもや新幹線から出られないという状況だった。

劇の中でヒントは一通りでていた。「選ばないのも勇気」。

文字通り、観客が一体とならないとトゥルーエンドは迎えられない……! 誰も投票「しない」という決断が迫られた。

投票タイムが始まった。



グラフ動いてるんですけどおお~~~~~~~~~~~!!!???


なんで! なんでだ! 誰かっていうかみんな投票してんじゃねえかwwwwww

クッソ……トゥルーエンド見たかった……いや、まだだ! まだ終わらない!

むぎょは投票時間ギリギリまで待った。そして、一票差まで迫ってグラフの動きが落ち着いたその瞬間。


私が投票した。

 

 

 

 


得票率、50%と50%……!


うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!

 



(※マジです)


物語はトゥルーエンドを迎え、みんなはちゃんと東京駅にたどり着けたのでした。


私が見に行ったのは千秋楽の前の公演。なんと、初めてのトゥルーエンドだったそうな。

 

 


観客の良心が試される選択肢だったよな、と。難易度とてつもない!


投票システムの他、新しい試み


もちろん目玉は投票システムだったんだけど、ほかにも大きなチャレンジがあった作品だった。「ネタバレ絵馬」と「○倍投票券」の二つ。

「ネタバレ絵馬」は文字通りネタバレが許可された絵馬。この演劇も他と同様、公演期間中はSNSなどでのネタバレ厳禁。特に今回はゲーム要素が強めだったからね。
でも、それだけだと観客がいつまでたってもトゥルーエンドにたどり着けない。そこで、公演会場にひっそり掲示されていたのがこのネタバレ絵馬。客席に用意されている所定の用紙に、後から観劇する人へのメッセージを残せるようになっている。
限定的なネタバレを奨励することによって、難易度の調整やネタバレ欲を上手い具合に調整できていたと思う。


「○倍投票券」は、3倍と10倍と100倍があった。劇中の投票で何倍かの投票権利をもらえる券だ。
一般のお客さんより投票結果が反映されやすいというのはなかなか魅力的だと思う。
3倍になるのは、複数回見たことがある人及び通し(公演中何度でも見に行ける)チケットを買った人。公演2回分ほどのお値段で、充分元は取れそうだった。
10倍チケットはさらに高い。1万円弱だけど、VIP席とおみやげがあるそうだ。
100倍チケットはなんと100万円。他のお客さんは自動的に無料になり、なんと公演名まで変えられるという冗談みたいなチケットだった。きっと4割くらい冗談だったんだろうけど、ちゃんと用意はしていたみたいだ。

チケットの種類を見て、なんだかキックスターターのようだなと思った。出資したお金に比例してサービスが違っていくというのは面白い。選ぶという行いだけでも既に楽しい。

 


まとめ ~計算された不安定さと、新たな可能性~


演劇という生のエンタメ、ハプニングの起こりやすい不安定なところに、「観客の選択、善意」というさらなる不安定さを入り込ませた手腕はさすがだ。ぶっちゃけ、主催者の視点から見るとこんなに心臓に優しくない演劇というのは初めてだと思う。
公演終了まであと2本、ってところでやっとトゥルー出せたのって奇跡以外のなにものでもないよね。もし私が主催者で、最後までバッドエンドにしかたどり着けなかったら責任感に押しつぶされて死にそうになってるに違いない。役者であっても同様だ、分岐ごとに演技を変えるっていうのはリスクでしかないと考えていた。

だけど、そこまで難易度の高い作品を作っちゃったっていうのがすごいよ。最高だよ。スタッフだけでなく、観客を信じてないと、こんなぐらっぐらなもの作れないよ。

むぎょはお客さんを入れる演劇なんて数えるほどしかやってこなくて、お金を扱う作品に携わったことだって滅多にない。それでも、演じることに付随するたくさんの奇跡と失敗を見てきた。原因のはっきりしているもの、運に左右されたもの。公演は本当に色々なことが起きる。大きな喜劇を作るところに、小さな悲劇が無数に存在する。逆もまた然り、信じられない幸運が舞い込むこともしばしば。

どうなるかわからない、という生きた感覚をお客さんの方にまで巻き込んじゃうスタイルは、観客を「観るだけの客」とせず「観測し干渉する客」とした。演劇もついに双方向に発信する時代だ。

楽曲や映像コンテンツが簡単にシェアされる時代でも、有名な歌手のコンサートに訪れる人は多い。目の前で繰り広げられる光景にはまだまだ価値があるけれど、いずれそれも技術によって軽いものになっていくかもしれない。

 

じゃあどんなエンタメを提供できるか、というと、むしろこっちからお客さんの能動的な動きを求める方向に進化していくのだろうな。カラオケが広く普及した日本なら、リアル謎解きゲームとかももうちょっと何かあればもっと流行すると思うんだよね。


実験的な試みではあるけれど、とてつもなく大きな可能性を感じた体験だったな!

 

 

 


おわり

 

女子と算数

女子と算数

 

 劇団ナイスストーカーの上演台本だそうです。